■清水は2位浮上の好機を逃す
前日に行なわれた試合で、2位のジュビロ磐田が敗れていた。勝点2差で磐田を追いかける清水は、この試合に勝てば2位に浮上できる。首位のFC町田ゼルビアが勝利していることを考えても、清水は勝点3がほしい。
56分、秋葉監督はシステムを変更する。3枚替えで4-4-2から3-4-2-1とした。チアゴ・サンタナを頂点にMFカルリーニョス・ジュニオ、途中出場のMF中山克広が2シャドーの位置に入る。
清水がゴールネットを揺らしたのは73分だった。途中出場の左ウイングバック山原怜音の右CKから、MFカルリーニョス・ジュニオがヘディングシュートを突き刺したのだ。ゾーンディフェンスの間でフリーになった背番号10が、自身3試合連続となる通算13点目を決めた。
アウェイのゴール裏は、オレンジ色に染まっている。いつもチャントが敵地のスタジアムに響く。
右サイドから北爪健吾が、左サイドからは山原が、ピッチの幅を広く使ってクロスを供給する。カルリーニョス・ジュニオと中山が、守備ブロックの間でボールを引き出す。秋葉監督は77分にDF井林章を投入し、いつもと違う選手の並びだった3バックを整える。守備の安定感を担保しながら逆転ゴールを狙うものの、4試合勝利のない秋田の守備を剥がしきれない。
84分にはチアゴ・サンタナが退き、FW北川航也が頂点に立つ。しかし、前半同様に攻撃が変化に乏しい。狭いスペースへ相手を食いつかせ、オープンスペースへボールを運ぶといったバリエーションが、この日は影を潜めた。ワンタッチをまじえたテンポの良いパス交換も少なかった。乾の不在が影響したと言わざるを得ない。1対1で試合終了のホイッスルを聞いた。
試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、「望んだ結果ではなかったですが、2位とは1ポイント縮まったわけですから、ラスト10試合まで来てここで下を向くのか。それとも、最後までポジティブにとらえて戦い続けるのか。答えはひとつですから」と話した。
ここからはホームでの2連戦だ。次節は徳島ヴォルティスを迎え撃つ。J2残留争いを演じている徳島は、前節終了後にベニャート・ラバイン監督との旅路に終止符を打ち、吉田達磨監督のもとでリスタートを切っている。今節はツエーゲン金沢に1対0で競り勝った。
残り10試合で、J1自動昇格圏内の2位以内へ浮上できるのか。今節に続いて乾が不在の次節、清水の真価が問われる。