■目指すトップ下像

 そこは彼自身もよく理解している点だ。

「要は『ゲームメークをしながら点もアシストも絡みます』『その人がいれば勝ちますよ』みたいな話になればいいし、僕もそうなりたい。そこが自分の究極なんですよね。ゲームメークを取るか、ゴール・アシストを取るかと言われれば、トップ下としては後者の方が大事だと思う。でも僕のプレースタイルはそうじゃないから、自分にできることをやりつつ、質を高めていく作業をやるしかないんです」

 小泉はこう静かに言う。目指すべきところは非常に高いのだ。

「理想を言えば、トップ下でやってた頃の中村憲剛(川崎FRO)さん。外国人で言えば、ケヴィン・デブライネ(マンC)とか。全部できるスーパーな選手ですよね。少し前に偏ってて守備負担はあまり大きくないですけど。

 ベルナルド・シウバ(マンC)やイルカイ・ギュンドアンバルセロナ)も低い位置のチームへの貢献が第一。でもあの2人もメチャメチャ点を取ってますよね(笑)。

 自分もトップ下をやってると前に偏りたくなる気持ちがすごく出るんですけど、それは適正ではないし、能力としてどうなのかというジレンマもある。そういう部分も踏まえつつ、チームのために何ができるのかを考えていきます」

 もがき苦しみながらも、自分なりに前進を続ける小泉。彼のようなフィジカル的に脆弱なタイプは年々、強度が挙がっているJ1では難しい部分もあるが、そういったマイナス面も克服していくしかない。

 今後の超過密日程の中、感性の鋭いタイプのMFが中島、安居、安部とは異なる魅力をいかにして発揮していくのか。いずれにしても背番号8が浦和を勝たせる男になってくれることを楽しみに待ちたい。

(取材・文/元川悦子)

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