■変わらないアメリカ
FCバルセロナ、マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘンといったビッグクラブが本格的に女子サッカーに取り組む―。プレー環境だけでなく指導者も一流なら、レベルはどんどん上がる。これによって、スペイン、フランス、イングランドといった国々の女子代表も過去10年間で飛躍的に力を伸ばしてきた。
欧州のクラブは男子チームと同じ手法を女子のチーム強化に使い、アカデミー(下部組織)で選手を育成し、移籍を通じてその選手の力を伸ばしたりチームを強化している。それによって各国の代表チームも急成長を遂げた。女子FIFAランキングで21位、UEFA内でも14位にすぎないポルトガルが、あと一歩でアメリカに勝ちそうになったことは、その良い証明ではないか。明らかに、現在の女子サッカーの主流は欧州にある。
アメリカでも女子のプロリーグは軌道に乗りかけているが、欧州のビッグクラブが資金だけでなく人的資源もサッカー指導の最新のノウハウも投入して女子サッカーを推進しているときに、アメリアはまだハイスクールから大学を経てプロになるという経由が主で、長期的な育成活動ができていないと、アメリカのサッカー専門家たちは警鐘を鳴らす。
そしてアメリカの女子サッカーの傾向として、スピードやパワーなどアスレティックな能力を重視し、ボールテクニックや試合の駆け引きなどの要素がしっかりと指導されていないという欠陥も、専門家たちの一致するところだ。今回のなでしこジャパンが見せている、流れるようなパスワークや局面でのボールテクニックの高さ、そして個々の戦術能力の高さは、アメリカの専門家たちにとって大きな驚きだったという。