■初めて味わう低成績

 1991年に第1回の女子ワールドカップが中国で開催されて以来、アメリカは30年間にわたって「女王」として圧倒的な存在だった。女子ワールドカップでは今回までの全9大会に出場し、優勝4回(1991、1999、2015、2019)。1996年のアトランタ大会から行われているオリンピックの女子サッカーでも、過去7大会中金メダル4回(1996、2004、2008、2012)。優勝を逃したときにも、両大会でベスト4に到達しなかったことは1回(2016年リオ・オリンピックで準々決勝敗退)しかなく、今回の「ラウンド16敗退」は、女子サッカーの世界大会が開催されるようになって以来初めてという低成績なのである。

 2003年に発表されるようになった女子の「FIFAランキング」でも、当初はドイツと競っていたが、2008年以降は大半の時期を1位で過ごしてきた。今回の女子ワールドカップを迎えたときも当然1位。9位のオランダはともかく、32位と21位で、ともに世界大会(女子ワールドカップとオリンピック)初出場のベトナムとポルトガルは問題なく勝てると考えられていた。

 初戦のベトナム戦は、もしかしたら2ケタ得点もあるのではないかと予想された。しかし結果は3-0。FWソフィア・スミス(2点)とMFリンゼイ・ホランのゴールで勝ったものの、エース格のFWアレックス・モーガンがPKを失敗し、シュート26本(ベトナムは0)を放って3点というのは、やや不満の残るものだった。ちなみに、大会初戦でやはり初出場のザンビアと対戦したなでしこジャパンも26-0と同じシュート数だったが、結果は5-0だった。

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