■選手たちの背中を押す大観衆

 この、大観衆の声援のおかげか、両チームはハイプレスを掛け合って、非常にインテンシティーの高い激しい試合を展開した。

 プロであるなら、観客数や試合の状況にかかわらず、いつでもどんな試合でも100%の力を出して戦わなければならないのは当然だが、それはあくまで“建前”である。人間がプレーしている以上、心理面がプレーに反映される。ダービーマッチや首位攻防戦といった舞台でいつも以上の力が発揮されるのは当然と言えよう。

 そういえば、7月7日には東京の味の素フィールド西が丘で「早慶定期戦」が開催された。慶應義塾大学と早稲田大学との間の、今年が74回大会という伝統を誇るダービーマッチだ。こちらの入場者数は両校学生やOBなどで4297人。Jリーグと比べれば、「わずか」な数字だが、なにしろ今シーズンの早稲田は関東大学リーグ2部、一方の慶應大学は今年新設された3部リーグで戦っており、ほとんどの試合は大学のグラウンドで行われ、事実上無観客状態ばかり。

 そんな両チームにとっては、4000人以上の観客の前での「早慶クラシコ」は特別な試合だったので、こちらも非常にインテンシティ―の高い試合となった。

 そして、技術レベルの問題とは別に、両チームの選手が100%の力を発揮して、本気で勝利のために戦う試合が面白くないはずはない。大学リーグ2部対3部の試合でも、エキサイティングだったことは間違いない。

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