■町田の狙い通りの2得点

 さて、話を国立競技場でのゲームに戻そう。

 そういうわけで、J2の「東京クラシック」を観戦に来場した人たちも90分間の激しい攻防を堪能することはできたに違いない。

 前半は町田が2対0とリードした。守備に定評がある町田が2点のリードを奪ったことで勝敗は決したかと思われたが、後半は東京Vが町田をゴール前に釘付けにして、終盤の連続得点で追いついて引き分けた。

 つまり、試合展開も非常にエキサイティングなものだったのである。

 堅い守備をベースに戦っている町田は、ボール保持率にはまったくこだわらない。高い位置でプレスをかけてボールを奪って、ショートカウンターを狙っている。

 そして、開始直後に狙い通りの形で見事に先制ゴールを決めたのだ。

 右サイドの平河悠がつないだボールを、エリキ安井拓也、エリキとワンタッチでつないで、エリキがゴール前でフリーになってシュート。このシュートは東京VのGKマテウスが跳ね返したのだが、こぼれてきたボールを藤尾翔太が蹴り込んだ。

 試合開始からわずか1分12秒の先制ゴールだった。

 その後は、1点ビハインドとなった東京Vはもちろん反撃に移り、町田が堅い守備で跳ね返す展開となった。東京Vのボール・ポゼッションが長くなるのも、両チームのスタイルを考えれば想定通りの展開だった。

 しかし、東京Vの攻撃もゴール前を固める町田の守備に阻まれて決定機にはつながらず、町田の持ち味である守備の強さだけが際立つ展開となった。

 そして、38分、東京Vがスローインからつなごうとして手間取ったところで下田北斗がボールを奪って素早くエリキに渡り、エリキが左に振ったボールを走り込んできた安井が決めて町田がリードを2点に広げた。またも、ショートカウンターだった。

(2)へ続く
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