2点のリードをもたらした「ボール保持にまったくこだわらない」町田のスタイル【見応え十分だったJ2の頂上対決「東京クラシック」】(1)の画像
「東京クラシック」は前半のうちに町田が2点をリードした 撮影:中地拓也

 7月9日に、J2の頂上対決が実現した。首位のFC町田ゼルビアと、2位の東京ヴェルディが激突したのだ。会場となった国立競技場には多くの観客も入り、試合は盛り上がった。この緊迫の一戦のポイントを、サッカージャーナリスト・後藤健生が探る。

■国立開催の「東京クラシック」

 7月9日の日曜日。東京の国立競技場で「東京クラシック」と称するFC町田ゼルビア対東京ヴェルディのダービーマッチが行われた。J2リーグ第25節の試合である。

 J2リーグでは、町田が前節まで16勝5分3敗の勝点53の成績で首位を独走中。そして、2位に付けていたのが東京Vだった。しかし、東京Vは2位とはいっても13勝4分7敗で町田との勝点差は10ポイントに広がっていた。

 東京V側から見れば、これ以上勝点差を広げられたら「逆転優勝」は非常に難しくなる。できれば勝利して差を縮めたいし、最低限これ以上離されたくないゲームだった。

 つまり、第25節の「東京クラシック」はJ2優勝(=J1昇格)を目指すホットな首位決戦でもあったのだ。

 そして、新国立競技場で初めて開催されるJ2リーグという話題性や、さらに東京Vの攻撃の牽引役でもあったバスケス・バイロンが突然町田に引き抜かれたことなど、「盛り上がる」要素には事欠かない試合だった(青森山田高校出身で、町田の黒田剛監督の教え子であるバスケス・バイロンは、東京V戦ではまだ出場可能ではなかった)。

 日曜日の夕方に交通至便の国立競技場で開催されたこともあって、両チームのサポーターが多数来場して、発表された公式入場者数は3万8402人だった。いつものホームゲームでは3000~4000人程度しか入らない両チームの選手にとって、普段の10倍ほどの観客が入っているという計算になる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3