■「ミトマジック」「ミトマってるな」が生まれた理由

――試合中に発せられた「ミトマジック」などの言葉も、SNSを中心に今や当たり前のようにファンの中では使われています。あれらの言葉は、なぜ生まれたのでしょうか?

 三笘選手のえぐるドリブルなどのスーパープレーを見て、直感で浮かびました。川崎時代から、えぐるようなドリブルをしていましたが、それをプレミアリーグでもそのまま変わらずやっているんですよ。すごいじゃないですか!

 そんな果敢にドリブルで仕掛ける姿を見て、「三笘にしかできない芸当だな」というのを、「ミトマってるな」って表現してみたら、それがスタジオでドカンとウケたんですよ。それからよく求められるようになっちゃって、今では新しい言葉を思いつくのが大変なんですけどね(笑)。

――それだけ三笘選手のプレーはすごい?

 別格です。三笘選手にしかできない、強度の高いプレミアリーグの選手を相手にドリブルでゴールエリアまで切り開くプレーだから「ミトマってる」んです。おそらくみんなもそう思っていて、だから共感を生んだんでしょうね。

――実は、鄭大世さんの現役時代に、子ども時代の三笘選手と接点があったとか?

 フロンターレ時代の2009年、大宮アルディージャ戦(第29節、10月17日)で、一緒に記念撮影をしたUー12の選手のなかに、小学生時代の三笘薫選手がいました。たしか、中村憲剛選手のエスコートキッズでしたね。

 ちなみに、その試合で僕は2ゴールを決めたんですよ。もしかしたら、僕のゴールが、世界の三笘になんらかのインパクトを残せたかも……なんて考えちゃいます(笑)。もしも三苫選手との対談が実現しても、そんなことはこっぱずかしくて言えませんけどね。

 第2回では、今シーズン解説してきた三笘選手の凄さ、さらに来季の展望までに迫る

 

ちょん・てせ
1984年、3月2日、名古屋市生まれ。愛知朝鮮初級学校でサッカーを始め、、朝鮮大学校を経て2006年、Jリーグ川崎フロンターレに入団。ポジションはフォワード。2007年、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表選手となり、ワールドカップ出場に貢献。2010年、南アフリカワールドカップ本大会終了後、ドイツ・ブンデスリーガ2部VfLボーフムへ移籍。その後、2015年に清水エスパルスに移籍、2016年には26ゴールでJ2得点王に輝く。2020年にアルビレックス新潟、21年にFC町田ゼルビアに移籍。22年シーズン後に現役引退。魂のこもった試合解説が話題になる。

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