■82分の決勝弾で今シーズン初の「ウノゼロ」勝利

 1対2で敗れた前節のモンテディオ山形戦は、立ち上がりから相手ゴールへ鋭く迫りながらも得点機を逃した。先制すれば3点、4点と入ってもおかしくなかったが、前半終了間際にリードされ、後半開始直後に追加点を奪われた。そこから1点を返したものの、1対2で逃げ切られてしまった。

 清水からすれば拙攻が響いたのだが、チャンスを逃せば相手は胸を撫で下ろし、勢いを増していくものだ。秋葉監督のもとで攻撃陣のポテンシャルを解放してきたが、力の差を見せつけるだけでなく、時にしぶとく、時に手堅く、時にしたたかに、勝点3を取っていくことが、J1昇格を手繰り寄せることにつながる。

 そう考えると、この日の清水はこれまでと違う表情を見せたと言える。82分、波状攻撃から、直前に強烈なヘディングシュートを熊本ゴールに見舞っていたブラジル人MFカルリーニョス・ジュニオがゴールを決め切ると、そのまま1対0で逃げ切ったのだった。

 ウノゼロの勝利は秋葉体制だけでなく、ゼ・リカルド前監督の指揮下でもない。シュート数は熊本の16本より少ない10本だった。公式戦26試合目にして初の「1対0」は、攻め勝つだけではないという新たな姿勢を示すものとなっただろう。

 同時刻開催のナイトゲームで、3位の東京ヴェルディが8位のファジアーノ岡山を下した。これにより、清水は仙台、岡山、大分に敗れたザスパクサツ群馬を抜いて7位に浮上した。首位の町田は一歩抜け出しているものの、2位の大分とは勝点6差だ。

 日本代表の試合が行なわれる次週は、週末にルヴァンカップが開催される。清水は18日にルヴァンカップの浦和戦を消化するため、17、18日開催の21節が28日にスライドされる。25日に22節の群馬戦、28日に21節のブラウブリッツ秋田戦、7月1日に23節の長崎戦と、中2日で3連戦を消化する。さらに中3日で仙台戦だ。

 J2では例外的にタフな日程を消化しつつ、それでも勝点を取りこぼさないためには、熊本戦のような試合が必要になってくる。この熊本戦を連敗を止めただけでなく、今後につながる一戦とすることができれば、さらに順位をあげていくことも可能だろう。

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