■乾の献身性がチームの指針に
清水が前半を2対0で折り返すのは、3日前のルヴァンカップと同じである。このときは64分と67分の失点で、同点に追いつかれた。最終的には3対2と突き放したものの、ゲームコントロールに課題を残した。
しかし、この日は違うのだ。後半開始早々にカルリーニョス・ジュニオが負傷交代するアクシデントはあったものの、交代カードを切りながら運動量と守備の強度を保ち、金沢に決定的な場面を作らせない。
勝利を決定づけたのは79分だ。相手のゴールキックからハメ込んでいき、敵陣左サイドでMF岸本武流がパスカットに成功する。このボールが前線の乾へつながり、背番号33はペナルティエリア内のFWオ・セフンへワンタッチでパスを出す。GKと1対1になった韓国人ストライカーが、ダメ押しの3点目をゲットした。
3得点すべてをショートカウンターで奪ったのは、攻撃から守備への切り替えが徹底されていたからだ。とりわけ、乾の献身性は目を引いた。CBに規制をかけながら、ボランチへパスを通されたらすぐにプレスバックする。攻撃をスピードダウンさせることで、DFラインを助けていたのだ。
リーグ戦3試合ぶりの勝利を、同じく3試合ぶりの複数得点で飾った清水は、7勝7分4敗の勝点28とした。順位を6位にあげてJ1昇格プレーオフ圏内に再浮上し、この日は黒星を喫した首位の町田との勝点差を「11」に縮めている。
次節はアウェイのモンテディオ山形戦だ。相手は3連勝と調子をあげている。カルリーニョス・ジュニオの負傷交代は気になるところで、ここまで5ゴールと好調のMF中山克広が金沢戦はメンバー外と、2列目の選択肢が不安視される。5連戦を終えて中5日で挑む次節では、秋葉監督のマネジメントに注目が集まる。