久々に多くの人が各所へ足を運んだ今年のゴールデンウイークには、日本のサッカーも盛り上がった。終盤の6日に、浦和レッズが3度目となるACL優勝を決めたのだ。その翌日には、もうひとつの浦和も気を吐いた。男子チームとレディース、2つの浦和の奮闘をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■強敵を迎え撃つ
5月6日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第2戦で、浦和レッズがサウジアラビアの強豪、アル・ヒラルに勝利して大会最多の3度目の優勝を決めた。
オイルマネーで潤うサウジアラビア王国にあって、豊富な資金力を生かしてチーム作りを行っているアル・ヒラルは能力の高い選手をそろえており、個人能力という意味では浦和を明らかに上回っていた。何しろ、ワールドカップでアルゼンチンを破ったサウジアラビア代表の選手多数を擁するのだ。一方、日本では代表クラスは軒並みヨーロッパのクラブに渡っているし、浦和は必ずしも日本の最強クラブというわけでもない。
そうした「個の力」を持つ相手と対戦するため、浦和は「前半は守備に徹して不用意な失点は避け、前半の終わりまたは後半の立ち上がりに相手の足が止まってきたところで仕掛けよう」という明確なゲームプラン持って試合に入り、そしてそれを最後まで忠実に実行した。
試合の内容は求めず、勝利という結果だけを追求し、そして浦和はそれを手に入れた。