■先輩指揮官も味わった苦悩

 常勝軍団のレジェンド監督というのは、ただでさえ、想像を絶する重圧がのしかかる。過去に鹿島を率いた石井正忠(現ブリーラム監督)、大岩剛(現U-22日本代表監督)、相馬直樹(現大宮監督)ら先輩指揮官たちも同じような苦悩を味わったはずだ。加えて言うと、岩政監督は彼ら以上に指導者経験が短い。

 Jクラブでトップ選手を教えるのは昨季が初めて。レネ・ヴァイラー監督の下で約半年間コーチを務め、そのまま昇格という一足飛びのキャリアを辿った分、風当たりが強まったのは確かだ。

 2016年に名古屋グランパスを率いた小倉隆史監督(現FC.ISE-SHIMA監督)が1年も経たないうちに解任され、2018年7月~2021年5月にガンバを指揮した宮本恒靖監督(現JFA専務理事)も最終的に更迭されるなど、他のレジェンド監督があまり成功していないことも、岩政監督の足かせになったというべきだろう。さまざまな逆風が吹き荒れる中、彼は結果で空気を変えていくしかなかった。

(取材・文/元川悦子)

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