鹿島・岩政大樹監督の苦悩と光明。「今日はあまり喋らないつもりで来た」としつつも22分間のロングトークで見せた表情から感じられたもの【レジェンド監督の難しさ(1)】の画像
鹿島アントラーズの岩政大樹監督 撮影:中地拓也

「正直、この仕事は心が全く休まらないなと思っています。(4月23日のアルビレックス)新潟戦に勝った後は少し生きた心地がしましたけど、(30日の)ガンバ(大阪)戦に向けての準備で頭を巡らせて苦しかったですし、ホームで勝っていないプレッシャーもあった。次も連戦なので浮かれた気持ちにはなれないですね」

 大型連休初日の注目マッチで宿敵・ガンバを4-0で粉砕し、今季初のリーグ連勝で9位に浮上した鹿島アントラーズ。岩政大樹監督は久しぶりに安堵感をにじませた。

 2022年8月の岩政体制移行後、鹿島が本拠地・カシマスタジアムで勝ったのは、8月14日のアビスパ福岡戦以来。実に8カ月ぶりの出来事だ。昨季は終盤失速したものの、指揮官の途中就任、4位という結果もあって、周囲からの風当たりはそこまで強くなかった。しかし、昌子源植田直通らを補強した今季は期待値が高かった分、序盤の大苦戦に厳しい視線が注がれた。

「今は自分たちのサッカーを積み上げている段階」と言い続けていた岩政監督も、3月18日の横浜F・マリノス戦からの4連敗には頭を抱えたに違いない。ピークはヴィッセル神戸に1-5で歴史的大敗を喫した4月15日。試合後、鈴木優磨サポーターが激しく言い合い、急浮上した監督解任論を吉岡宗重フットボールダイレクター(FD)が全面的に否定するなど、かつての常勝軍団が大混乱に陥ったのだ。

 実際、岩政監督自身もメンタル的にかなり追い込まれた様子だった。4月19日のYBCルヴァンカップ前日のオンライン会見でも「今日はあまり喋らないつもりで来た」と言いつつ、結局は22分ものロングトークで対応。日頃、明るく気さくな指揮官も終始重苦しい表情を見せ、自らのマネージメントが正しいのか否かを自問自答しているようにも見えた。

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