大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第110回「脱いでもスゴイ?」(2)イブラヒモビッチが伝えたかったメッセージの画像
ゴールを決めた選手は、なぜユニフォームを脱いでしまうのか? 撮影:中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「野生への回帰?」。

■ルールの線引き

 さて、こうして2004年から得点の喜びでシャツを脱いだ選手は「警告されなければならない」と明記され、主審には選択の余地がなくなった。その行為をしたら、時間がかかろうと早く戻ろうと、自動的にイエローカードが出されるのである。しかしそれから20年近くを経たいまもまったくなくならないのは、いったいどういうわけだろう。

 ちなみに、現在のルールでは、ルール第12条の本文に「得点の喜び」という項目があり、「次の場合、競技者は得点が認められなかったとしても警告されなければならない」という事項のひとつに「シャツを脱ぐ、シャツを頭に被る」とある。「得点が認められなかったとしても」とあるのは、VAR時代の反映である。

 先日のJリーグで奇しくも同じ日に同じようなシーンが連続して起こり、大きな話題となった。試合は4月23日のコンサドーレ札幌対アビスパ福岡名古屋グランパス湘南ベルマーレ。どちらも、後半、ホームチームに見事なゴールが生まれ、3-1とリードを広げて勝利を大きくたぐり寄せたかと思った瞬間、ともに数十秒前の自陣ペナルティーエリア内のプレーでVARが介入し、ビジターチームにPKが与えられ、これがともに決まって2-2の引き分けに終わったという試合である。

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