■J1上位もカウンター狙い
あらゆるポジションで欠場者が相次ぐ川崎は、メンバーも試合のたびに変わり、この日は家長昭博をトップに置く新しい形でスタートした。ターゲットになる家長をトップに置いて、早めにボールを前線に送らせようという狙いだったようだが、右サイドの永長鷹虎も左サイドの宮代大聖も孤立してドリブル突破が封じられてしまう。その後、川崎の鬼木達監督は前線の並びを幾度も変えて打開を試みるが、なかなか前線にうまくボールが入らなかった。
ボール保持率では当然川崎が上回るものの、それが効果的にフィニッシュにつながらず、動きが乏しいまま回そうとすると、そこでパスをカットされるという悪循環に陥ってしまった。
さすがに2点差となった後半には選手が危機感を覚えたようで、ようやくボールが前線に収まるようになった。後半11分に川崎らしく相手ゴール前に人数をかけて混戦を作り、宮代が蹴り込んで1点を返した。その後は後方からのロングボールを叩いた宮代のボレーシュート(後半32分)など何度かのチャンスはあったものの、名古屋が逃げ切った。
ロングカウンターか、ショートカウンターかという違いはあったものの、名古屋が勝利した試合は町田が大分を破った試合と試合の流れは共通していたように感じた。
J1リーグの上位争いを見ても、J2リーグと同じようにポゼッション志向のチームよりもカウンター狙いのチームが多い。
どうやら、それが2023年シーズンの一つの傾向のようなのである。