2023年のJリーグが開幕して、2か月が経過した。J1とJ2では、順位表に近年にはなかった様子が見られる。新たな変化は、ピッチ上にも現れている。今シーズンのJリーグで見え始めた新たな潮流を、サッカージャーナリスト・後藤健生が読み解く。
■さまざまなカウンター
これで、首位と2位が入れ替わり、J2リーグではFC町田ゼルビアと大分トリニータを東京ヴェルディとブラウブリッツ秋田が追う展開となっている。
注目すべきは、上位陣のうち大分以外の3チームはいずれも堅い守備からのカウンターを武器にしているという点である。
もちろん、チームによって戦い方はそれぞれ違う。
中央を固めて守備を強化し、前線に深いボールを入れて分厚い中盤でセカンドボールを拾って攻撃をしかける東京V。選手間の距離を強調して、前線から人数をかけてボールを奪い、そこからショートカウンターで仕留めようという秋田。
守り方もカウンターの仕掛け方も、それぞれのチームによって大きく違っている。
だが、いずれのチームも自分たちでボールを保持することにはこだわらず、相手に持たせた(あるいは持たれた)ボールを奪って素早く攻めるというのが基本コンセプトだ。一言でまとめて言えば、J2リーグで上位争いをしているチームの多くは「堅守速攻」型だということになる。
「堅守速攻」型の優位……。今シーズンは、J1リーグでも同じような傾向が見えてきている。
町田対大分のJ2首位攻防戦の前日には、名古屋グランパスがまさに「堅守速攻」の典型のような攻撃でポゼッション・サッカーの王者、川崎フロンターレを破っている。