名古屋グランパスの川崎フロンターレ撃破からうかがえるJ2と共通するJ1の傾向【2023年シーズンに見え始めたJリーグの新たな潮流】(2)の画像
名古屋は等々力で11年ぶりに川崎を破った 撮影:中地拓也

 2023年のJリーグが開幕して、2か月が経過した。J1とJ2では、順位表に近年にはなかった様子が見られる。新たな変化は、ピッチ上にも現れている。今シーズンのJリーグで見え始めた新たな潮流を、サッカージャーナリスト・後藤健生が読み解く。

■さまざまなカウンター

 これで、首位と2位が入れ替わり、J2リーグではFC町田ゼルビア大分トリニータ東京ヴェルディブラウブリッツ秋田が追う展開となっている。

 注目すべきは、上位陣のうち大分以外の3チームはいずれも堅い守備からのカウンターを武器にしているという点である。

 もちろん、チームによって戦い方はそれぞれ違う。

 中央を固めて守備を強化し、前線に深いボールを入れて分厚い中盤でセカンドボールを拾って攻撃をしかける東京V。選手間の距離を強調して、前線から人数をかけてボールを奪い、そこからショートカウンターで仕留めようという秋田。

 守り方もカウンターの仕掛け方も、それぞれのチームによって大きく違っている。

 だが、いずれのチームも自分たちでボールを保持することにはこだわらず、相手に持たせた(あるいは持たれた)ボールを奪って素早く攻めるというのが基本コンセプトだ。一言でまとめて言えば、J2リーグで上位争いをしているチームの多くは「堅守速攻」型だということになる。

「堅守速攻」型の優位……。今シーズンは、J1リーグでも同じような傾向が見えてきている。

 町田対大分のJ2首位攻防戦の前日には、名古屋グランパスがまさに「堅守速攻」の典型のような攻撃でポゼッション・サッカーの王者、川崎フロンターレを破っている。

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