■名古屋の狙いどおりの速攻
こちらは、高い位置でプレスをかけることはほとんどない。前線での守備はボールを奪いに行くというよりも、パスコースを限定して中盤でのボール奪取を助けるためのもの。川崎が最終ラインからパスをつないで中盤にボールを運び、これからフィニッシュにかかろうという段階で、パスカットを狙うのだ。
そして、試合開始から9分。まさに狙い通りのカウンターで名古屋が先制した。
川崎がハーフウェーラインを越えて、パスを回そうとするところで名古屋が中央での圧力を強めて川崎がパスを左サイドに開こうとした瞬間に、狙っていた米本拓司がボールをカット。そのままタッチライン沿いにスルーパスを送り込むと、永井謙佑が俊足を飛ばしてこのパスに追いつく。川崎の左センターバックの高井幸大が永井のチェックに懸命に走ったが、その裏にキャスパー・ユンカーが走り込んでおり、永井からのパスを受けた瞬間にユンカーはフリーになっていた。
米本がパスをカットした瞬間にスイッチが入った、まさに狙い通りの見事な速攻だった。
ゲームはその後、前半のアディショナルタイムにマテウス・カストロがFKから強烈なドライブシュートを直接決めて2点差となった。