■後半終了間際にオ・セフンが劇的ヘッド!
いきなりビハインドを背負った清水だが、前監督指揮下の4-4-2から4-2-3-1へシステムを変えたことにより、サイドアタックだけでなく中央を使うことができるようになっていた。相手の人数と意識を中央へ集めてから、サイドを使うことができていたのだ。
果たして、前半のうちにタイスコアとする。
アディショナルタイムに突入した45+1分だった。乾の縦パスを受けたMF中山克広が右サイドへ展開すると、右SB北爪が走り込んでいた。ペナルティエリア内から右足を振り抜くと、左ポストを叩いてゴールネットに吸い込まれた。
1対1で推移していく後半、秋葉監督は60分過ぎから交代カードを切っていく。4-2-3-1のシステムを維持しながらFW北川航也、オ・セフン、MF神谷優太、西澤健太、宮本航汰を投入し、2点目を狙っていく。
前監督の指揮下では、通すのが厳しいパスが避けられる傾向にあった。リーグ戦で勝っていないことが、ボールを失うことを避けるメンタルにつながっていたのだ。
しかし、秋葉監督のもとで清水はメンタル改革を進めている。「前へ出ていく、仕掛ける、飛び出していく、追い越していく」との姿勢を追求しているなかで、90分にチャンスが訪れる。神谷の左CKから、オ・セフンが高い打点のヘディングシュートを突き刺したのだ。U―24韓国代表に招集されている193センチのFWが、得意のヘディングでシーズン初ゴールを叩き込んだ。これが決勝点となり、清水は待望のリーグ戦初勝利を飾ったのだった。
”熱男”のキャラクターが定着した秋葉監督は、少しかすれた太い声で話した。
「まだひとつ勝っただけ、次、水曜日またホームで、アイスタでできるので、しっかりと回復させて、連勝できるようにしっかりやりたいです」
今節はここまで無敗だった首位の町田が敗れた。3連勝のV・ファーレン長崎をザスパクサツ群馬が破り、ジュビロ磐田が水戸ホーリーホックに大勝するなどにより、首位から14位までが勝点9差=3勝分のなかでひしめき合っている。混戦の度合いが増した印象だ。
勝点8で16位の清水も、中位から抜け出して上位へ食い込んでいくことは可能だ。フットボールの本質をとことんまで追求することで、浮上へのきっかけをつかみつつある。