■ゼ・リカルド監督解任は避けられず

 清水の総シュート数はリーグ最多で、ボールポゼッション率も高い。しかし、総得点はリーグワーストタイである。

 そこから見えるものは何か。

 彼らが作り出してきた決定機は、「個」に依存したものが多い。コンビネーションに基づいた崩しは、なかなか見られないのが現実だ。昨シーズンJ1得点王のFWチアゴ・サンタナは、甲府戦でシュートゼロに終わっている。主砲にシュートシーンが訪れなければ、勝利を手繰り寄せるのは難しい。

 ゼ・リカルド監督は「チャンスは作れている」と話してきた。しかし、試合を重ねるごとにコンビネーションが深まるとか、リスタートのバリエーションが豊富になっていくといったこともない。

 首位を走るFC町田ゼルビアとは、すでに勝点差が「14」もついている。まだ7試合を終えただけで、残り試合は35試合ある。とはいえ、7節終了時点で未勝利のチームがJ1自動昇格の2位以内でフィニッシュしたことは、過去10シーズンのJ2で一度もない。清水はすでに追い詰められているのだ。ゼ・リカルド監督の解任は避けられないだろう。

 ブラジル人指揮官の後任には、秋葉忠宏コーチが暫定的に就く見込みだ。前述したように9連戦のさなかにあるチームは、5日にルヴァンカップの湘南ベルマーレ戦を控える。週末の8日には、ここまで2位と好調の東京ヴェルディとの対戦が待つ。新任の監督を招へいし、チームを立て直す時間的余裕はない。2020年から22年まで水戸ホーリーホックを指揮し、アグレッシブなスタイルでJ2リーグを盛り上げた秋葉コーチに、再建の第一歩が託されることになるだろう。

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