■1トップを起点とした攻撃は限定的だった

 自分たちでボールを握るための手段として、4-2-3-1の1トップをもう少し使ってもよかったのではないか。

 ウルグアイ戦は浅野が先発したため、背後やサイドへの抜け出しが多くなった。後半途中から起用されたFW上田綺世の出場後も、彼のポストプレーを起点とした攻撃が増えた印象はない。

 コロンビア戦はFW町野修斗が先発した。トップ下の西村とは、昨年7月のE-1選手権でスムーズな連携を見せている。この日も三笘の先制ゴールにふたりがかかわった。

  試合後の町野は、「もっと起点になりたかった。得点シーンはいい形だったんですけど、シュートがゼロだったのでまだまだ」と振り返っている。「味方を生かす動きがちょっと多過ぎたのかな」とも話しているが、彼がボールが収めることで全体が前進していく、という場面は少なかった。

 上田が出場した後半も、攻め筋は変わっていない。1トップのポストプレーをきっかけとした崩しは、トップ下が西村からMF久保建英に代わっても増えていない。終盤は攻め込むことができていたが、61分の失点で追いかける展開になっていたことを考えれば当然だっただろう。

 54分に三笘に代わって途中出場したMF堂安律は「僕が出たときは早めに失点をして、いくしかなかったので、きれいな戦術どうこうよりももっとタテパスをつけてほしいと言いました」と話した。チーム全体が縦を意識することで、終盤はアタッキングサードへの侵入回数が増えていった。西村に代わった久保は「僕も含めてちょっと雑になってしまった」と話していたが、迫力を出すのはそれぐらいでもいい。

 もっとも、シュートは7本に終わった。ウルグアイ戦は4本しか記録していない。得点を奪うためにはフィニッシュへ持ち込む形を増やすことも、フィニッシュする意識も高めることも必要だろう。

 カタールW杯からの持ち越し課題となっている「セットプレー」は、2試合を通じてゴールに結びつかなかった。コロンビア戦では後半から出場した上田が左CKからヘディングシュートを浴びせたが、これは「個」の力によるものだった。

 今回の2試合はテストマッチで、何かを隠す必要はない。そして、CKやFKは準備すればすぐにトライできる。デザインされたものが見られなかったということは、4-2-3-1によるサイドバックのポジションの意識づけに、時間が割かれたということなのだろう。

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