【J2「大混戦」】FWファンマの強烈「叩きつけヘディングゴール」!サバイバルマッチを制して上昇気配のV・ファーレン長崎の一方、不安再び露呈のベガルタ仙台…「J1昇格候補の明暗」【戸塚啓のJ2のミカタ】(2)の画像
昨季に続き守備の不安が再び露呈してきたベガルタ仙台・伊藤彰監督  撮影:中地拓也
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■長崎が「サバイバルマッチ」を制す

 V・ファーレン長崎が、長いトンネルを抜けた。

 3月25日に行なわれたJ2リーグ第6節で、長崎はモンテディオ山形と対戦した。両チームともにJ1昇格候補に挙げられながら、長崎は1勝2分2敗、山形は2勝3敗と、苦しい序盤戦を過ごしている。長崎は前節終了時で16位、山形は11位だった。

 長崎のホーム・トランスコスモススタジアム長崎を舞台とした一戦は、J1昇格への「サバイバルマッチ」の様相を呈していた。シーズン序盤とはいえ、ライバル相手に勝点を譲るわけにはいかない。

 最初にスコアが刻まれたのは36分だった。長崎のMFカイオ・セザールとCB櫛引一紀がペナルティエリア内でボールを譲り合う格好となり、山形FWチアゴ・アウベスに蹴り込まれてしまった。

 長崎の反撃は65分、身長188センチFWフアンマ・デルガドの一撃からだ。途中出場したばかりの笠柳翼が右サイドからゴール前へパスを送り、MF澤田崇がワンタッチで落としたボールを、スペイン人FWが左足で強引に決め切った。フアンマにとっては今シーズン初ゴールだ。ファビオ・カリーレ監督の選手起用が、すぐに得点へと結びついた。

 しかし74分、長崎はゴールを割られてしまう。再び追いかける展開となるが、フアンマが決定力を爆発させた。

 82分、笠柳のふわりとしたクロスを上から叩きつけた強烈ヘディングシュートを突き刺し、90+3分にはペナルティエリア内から右足のワンタッチシュートを流し込み、今シーズンのJ2で初めてとなるハットトリックを達成する。チームも3対2で山形を振り切った。長崎がホームゲームで勝利するのは、実に昨年6月以来である。

 試合後のフラッシュインタビューに応じたフアンマは、「しばらく得点できていなかったなかで、自分にとってもチームにとってもすごく大事な3点になり、勝利に貢献することができてすごく嬉しいです」と喜びを口にした。

 17年からJリーグでプレーする32歳は、前節にJリーグ通算200試合出場を達成し、この日の3点目が通算50ゴール目となった。J2でのハットトリックは自身3度目である。

 ロアッソ熊本を2対0で退けた前節は、川崎フロンターレから期限付き移籍の宮城天が2得点を叩き出した。そしてこの日は、5年ぶりに復帰したフアンマが勝利の立役者となった。新加入選手が結果を残すことで、チームに勢いが生まれている。ホーム未勝利という長いトンネルから抜けた長崎は、ここから勝点を積み重ねていけるか。

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