誕生から5年「論議を不可侵にしてはならない」運用への3つの見直し案【VARプロトコル見直しの時期】(3)の画像
サッカーにはフェアプレーが必要なのだが… 写真:渡辺航滋

 サッカーでは、判定に関する疑問はつきものだ。時代は変わり、判定の運用への疑問が湧くようになった。現在のVARの問題点を、サッカージャーナリスト・大住良之が突く。

■VAR運用の見直しを!

 いま、サッカーは「映像を生かしてより正確な(試合結果に影響を与えるように大きな間違いのない)判定に近づいた」はずの時代にある。それでありながら、サッカーという競技は、「VAR以前」より、楽しく、エキサイティングなものになっているだろうか。もしそうでないときもあるのであれば、VARの運用方法、すなわち「プロトコル」を見直すべきではないか。

 見直し案の1は「チャレンジ制」の導入である。VARが積極的に「誤審」に割ってはいるのではなく、1チームにつき前後半に1回ずつ判定に対する「チャレンジ」の権利を与える。もちろん、そのテーマは、ゴール、PK、退場など、試合結果に大きく影響するものに限られる。映像検証でチャレンジが成功すれば1回は消えず、失敗すれば権利を失う。他の競技でよく使われている方法だ。十分検討する価値のある事項だと思う。

 見直し案の2は、「オフサイドディレイ」の全面的廃止である。副審たちがオフサイドと判定した場合には、以前と同じように旗を上げ(副審の判断を受けてプレーを止めるかどうかの判断は、最終的にはもちろん主審だが)。その結果失われる得点の数など、おそらく取るに足らないものだろう。それよりもボールを奪った守備側が攻撃を始めたとたんにプレーが止められ、フリーキックになるような間の抜けたことはなくなり、試合はずっと「健康的」になる。そしてこれからも副審の超人的な能力は受け継がれていくだろう。

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