■大事なファンの納得感
見直し案の3は、「APP」を極端に短く、得点の直前のプレーまでに限ることである。「APP」とは、「アタッキングポゼッションフェーズ」の略で、攻撃側が相手ゴールに向かって攻撃を開始したときを起点に、ボールを失うまで、あるいはゴールが決まるまでに起きた全事象を指す。きれいなパスが5本つながり、素晴らしいゴールが生まれても、その攻撃の起点、相手からボールを奪う時点で主審が見逃した反則があったら、あるいは、途中でボールがゴールラインやタッチラインを割っている事実を確認したら、そのゴールは成立しない。
VARは、映像を見ながら「攻撃が始まった瞬間を」を見極め、「APPスタート」と宣言しながらボタンを押す。このボタンが押されると、映像にタグ付け(家庭用のレコーダーなどで「チャプター付け」と言っているのと同じ機能だ)し、そのAPPのなかで得点が生まれたらワンタッチでその最初から映像をチェックすることができるようになっている。
だが、得点からあまりに離れた場所(レフェリーが止めなかったところ)まで戻すのは本当に興ざめである。これをゴール、そしてその直前のプレーだけに限れば、よりチェックも簡単になり、ファンの納得感も得られるのではないか。