■論議を忘れるな
2021年のルール改正で、攻撃側の偶発的なハンド(本来反則には当たらない)で得点が生まれたときには、ボールが手に当たった競技者自身が得点した場合を除き、反則にとらないことになった。それ以前には、手に当たった選手が得点のチャンスをつくりだした場合にも得点を認めないとしていたのである。それを考えても、「APP」を得点とその直前のプレーに限ることはおかしくはないはずだ。
VARはまだ誕生から5年である。技術や制度は、つくられた後、どんどん手直しされ、考え直されて、本当にふさわしいものとなっていく。サッカーのルールも、1863年に誕生以来、最初の10年間で大きく手直しされ、やがて現在の形ができた。「5歳」になったVARをしっかり見直し、選手もファンもサッカーの試合を心から楽しめるものにするのに役立たせなければならない。VARやそのプロトコルは「不可侵」ではない。いまこそ広く議論し、より良いものにする努力を怠ってはならない。