■2つの「はやさ」
パスのタイミングの早さと、ボールの速さを使って、広島の厳しいプレスをかわすことができるあたりに、横浜FMのチームの完成度の高さを見ることができる。
ボランチの喜田拓也と渡辺皓太からワントップのアンデルソン・ロペスまで、攻撃陣はメンバーがほぼ固定されており、コンビネーションも非常に良い。
また、この日は右サイドハーフとして水沼宏太ではなく、ケヴィン・マスカット監督に高く評価されている井上健太が先発で入ったことで、パスの速さ(早さ)に加えて走るスピードもさらに上がった。
19分の同点ゴールも、エウベルの速さによるものだった。
左タッチライン沿いに角田涼太郎から深いパスが送られる。スタンドから見ていると、ゴールラインを割ってしまいそうに見えたパスだったが、俊足を飛ばしてそれに追いついたのがエウベル。切り返してから入れたエウベルのクロスを、アンデルソン・ロペスが胸で押し込んで同点とした。
その後も、横浜FMが速さを前面に出して攻撃を仕掛けるが、広島は塩谷司、荒木隼人、佐々木翔の3人のDFがうまく対応して決定機を作らせず、逆にカウンターからチャンスを作って対抗。両チームが前からプレスをかけ、そのプレスをかいくぐって前線にボールを送って攻撃を繰り返す。ボールデッドになっても、すぐにリスタートして目まぐるしい展開が続く45分間だった。
後半も、立ち上がりは再び広島のリズムだったが、ほんの少しだけパスがズレてしまって決定機にはつながらない。そして、一進一退の激しい攻防が続いてゲームが終盤に差し掛かった77分に、広島の中野就斗との空中での競り合いの場面で左SBの永戸勝也がヒジを振ったと判定されて一発退場。
これで、再びゲームが動き出した。