■数的不利でも貫いた攻撃的サッカー

 この試合、両チームが激しくプレスを掛け合ったため、各所で激しいコンタクトプレーが多発した。そんな中で、永戸の退場はやや厳しい判定にも思えたが、たしかにヒジが入っていたことは間違いない。

 横浜FMのマスカット監督は「アグレッシブな試合で、レフェリーにとって難しい試合だったろう」とした上で、「その後の選手たちの態度は素晴らしかった」と語った。

 実際、横浜FMにとって気の毒な判定ではあったものの、1人少なくなった横浜FMはその後も守りに入ることはなかった。

 マスカット監督はまずアンデルソン・ロペスに替えて上島拓巳を入れて守備ラインを再構築して(上島をCBに入れ、角田をSBに移す)、4-2-3の形を採用。さらに、87分にはマルコス・ジュニオールとヤン・マテウスという攻撃的な選手を投入して、「1人少ない状況でも勝利を目指す」という姿勢を明確化した。

 数的優位に立った広島も、もちろん決勝ゴールを目指して攻撃のテンポを上げ、ピエロス・ソティリウが2度ほど決定機を作ったが、横浜FMも90+6分にはカウンターからマルコス・ジュニオールとヤン・マテウスの2人のパス交換で決定機を作った。

 1人少ない状態となったことは、もちろん横浜FMにとっては不幸な出来事だったが、それによってかえって横浜FMの攻撃的な姿勢やその能力が余計に引き立ち、その強さを印象付ける結果となったのである。

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