■楽ではなかった道のり
明けて2023年初頭。三笘薫の輝かしいゴールとともにイングランドのプレミアリーグで大きな注目を集めた「ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン」。このチームにあって、背番号10を背負い、攻守の中心にいるのがアレクシス・マカリスターだ。ロベルト・ゼデルビ監督から絶大な信頼を得て輝くプレーを見せる彼は、ブライトンとの4年半の契約が切れる今夏、数多くのビッグクラブの主要ターゲットのひとりと言われている。「市場価格」は4200万ポンド(約68億円)である。
マカリスターは1998年12月24日にアルゼンチンの田舎町サンタローサ(ラパンパ州)で生まれ、ディエゴ・マラドーナを輩出したことで世界に知られるブエノスアイレスのアルヘンチノス・ジュニアーズのユースからプロとなり、アルゼンチンのU-20代表でも活躍した。そして20歳になったばかりの2019年はじめに約10億円という高額でブライトンに移籍、その年の前半はアルヘンチノス、後半はこれもアルゼンチンのボカ・ジュニアーズに半年間ずつ貸し出され、アルゼンチン代表にも選出された。2020年はじめにブライトンに戻ってプレミアリーグにデビュー、レギュラーに定着した。
2021年夏には東京オリンピックに出場。アルゼンチンはグループリーグで敗退したが、マカリスターは背番号10をつけて全3試合に先発出場した。だが2022年1月に2年半ぶりに選出されたアルゼンチン代表では、コロナ感染で出場のチャンスを逃し、3月のチリ戦ではひどい反則を受けて負傷するなど、不運に見舞われた。ワールドカップを前に注目される存在とは言えなかったのは当然だった。