■鳥栖戦と開幕戦での違い

 2戦目と3戦目は45分×4本と同じボリュームだったが、2戦目で奪った得点は4であるのに対して3戦目で奪った得点は11。2戦目で奪った得点はセットプレー絡みであったのに対して、3戦目は流れの中から次々とゴールを決めた。

 それだけでなく3戦目は偽SBの切り替えもスムーズに行われ、なおかつ、山根のプレー範囲は2戦目に比べて格段に広がった。横浜F・マリノス戦での山根のプレーは2戦目のものにより近く、そういう意味で言えば、この取り組みはまだまだ可能性を秘めているといえる。

 この試合で鳥栖は前から積極的なプレスをかけてきており、選手からは「その圧を避けながら」という言葉が聞こえてきたが、そういう意味では横浜FMに近い状況ではあった。開幕戦という独特の空気があったことも含め、まだまだ川崎は真の姿を見せているとはいえない。

 2月23日、鬼木達監督は鹿島アントラーズ戦に向けて報道陣の取材に応じた。その中で鬼木監督はこの可変システムについて話す機会があり、「最終的には全部を臨機応変にやっていきたい」と、臨機応変さについて改めて言及する場面があった。

 ただし、これは手段であって目的ではないと、以下のように説明もした。
「(可変システムは)手段でしかない。彼(山根視来)は非常に上手にゲームで面白いものを見せてくれていますけども、もともと持ってる右サイドでの崩しの場面にも参加してほしい選手なので、別にそこに行かなくていいのであれば、もともとのプレーのところでやってほしい。

 スムーズに敵陣に入っていくことが目的。結局はゴールを取らないと意味がないので、そこははき違えないようにということは、視来(一人)にということではなくてチーム全体に話しています。そこはあくまでも前線でパワーを使うためにそうしているだけ。それが目標ではないです」

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