川崎フロンターレの偽SBシステム「山根視来ロール」はどのように導入されたのか、キャンプ中の実装過程を紐解く…11ゴールを決めた鳥栖戦と開幕戦との違いの画像
横浜F・マリノスとの開幕戦での川崎フロンターレDF山根視来 撮影:中地拓也

 2月17日、今季のJリーグのオープニングゲームが行われた。対戦したのは、川崎フロンターレと横浜F・マリノス。前年優勝チームと、優勝奪還を目指すチームの戦いだ。

 この試合の結果はご存じの通り2-1で横浜が勝ったが、結果とは別の部分でも注目された。それは、川崎フロンターレが導入した新オプションだ。

 これはすでに各メディアでさまざまな表現がされており、「偽SB」「可変システム」「3.5バック」などの言葉が見られる。ただ、その説明はいずれも大きくは同じで、最初は4-3-3でスタートするのだが、試合中に右SBの山根視来がボランチの位置にポジションを取り、最終ラインは3バックに変化するというものだ。

 川崎は開幕戦までに紅白戦と4つの対外試合を行った。このうち2試合は公開で、1試合は非公開で行われ、もう1試合はさらに完全な状態での非公開で行われ、こうしたトレーニングマッチを経て、いきなりではなく、徐々に実装されていった。

 特に最初の3試合では、段階的な取り組みが見て取れた。具体的には、臨機応変さである。まずは1戦目で時間を分けて、そして、形を作って可変システムが導入された。そして2戦目の名古屋戦では、そこから臨機応変さを持って偽SBを用いるタイミングを見計らった。そして3戦目ではさらにそれを推し進めて、タイミングだけでなく偽SBになった状況でのよりエリアを広くした形での攻撃が行われた。

 2戦目の後、選手からは「ベンチからも指示はありましたけど、今回の試合はそれを応用して、相手を見ながらやっていこうというのがあったので、また一歩進んだ形になりました。そしてそれを使い分けるタイミングというのも、一人や二人というのではなくてチーム全体で共有できた」といった手応えが聞かれた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4