●黒田体制の町田はポジティブなドロー
2月18日に開幕した2023年のJ2リーグ。18日のジュビロ磐田VSファジアーノ岡山戦に続き、翌19日にも、J1昇格候補が相まみえた。
町田は「J2屈指の大型補強」を展開した。J1レベルのタレントを、各ポジションに揃えたのである。
対する仙台は、「伊藤シフト」でのJ1昇格を目ざす。
昨シーズン終盤に就任した伊藤彰監督のもとには、甲府で共闘した渋谷洋樹コーチとCB小出悠太が加わった。小出は大分トリニータからの完全移籍で、加入1年目にしてキャプテンを務める。システムも3-1-4-2──伊藤監督がヴァンフォーレ甲府やジュビロ磐田で使ってきたものと、ほぼ変わらない。
開幕戦には特有の緊張感が漂う。全42試合のうちの1試合だとしても、監督も選手も早く1勝したいと考える。それゆえに動きが固くなったり、リスクを避けたりする傾向が強まり、試合そのものが膠着したりもするものだ。
しかし、町田のホーム・町田GIONスタジアムで行なわれたこの一戦は、開幕戦特有の固さは感じられなかった。
4-2-3-1のシステムを採用した町田は、ミッチェル・デュークを頂点とし、2列目右サイドに平河悠、トップ下に高橋大悟、同左サイドにエリキが並んだ。特別指定選手ですでにリーグ戦の出場経験がある平河も含め、4人は新加入選手だ。左ボランチの下田北斗、両CBのチャン・ミンギュと池田樹雷人も、今シーズンから町田のユニフォームを着ている。
29分には決定機を作り出す。エリキが左サイドを突破し、スピードに乗ったまま左足を振り抜く。この一撃はクロスバーを直撃し、セカンドボールを回収すると高橋が右足で狙う。しかし、ゴール右へ逸れた。
1トップ+2列目の4人は、「個」の力が高い。ポゼッションからの崩しを意図しながら、4人(あるいは3人)でカウンターを発動することができる。スピード溢れる突破をしかけた平河は、ブレイクを予感させた。
両チームともに決定機を生かしきれない展開は、0対0のドローに行き着いた。黒田剛新監督の就任初勝利は次節以降へ持ち越されたが、この日の内容はポジティブに受け止めていいものだ。