■黒田新監督が保有戦力を生かせるかがカギに

 また、19年途中から20年にかけて横浜F・マリノスに在籍したエリキも獲得している。28歳のブラジル人アタッカーは、19年に12試合出場で8得点、20年は29試合出場で13ゴールと、高い決定力を示した。当時と同レベルの活躍をすれば、得点王の有力な候補に上がってくるだろう。

 日本人アタッカーでは高澤優也、沼田駿也、荒木駿太が加わった。

 高澤は大分トリニータから21年にアルビレックス新潟へ、22年はJ3の北九州へ期限付き移籍した。北九州ではリーグ戦で7ゴールを記録している。利き足の左足から繰り出すシュートはパンチ力があり、シュートレンジも広い。ラストパスを出すこともでき、最前線でも1・5列でもプレーできる。プロキャリア5チーム目となる町田で、25歳の本格的なブレイクが期待されるところだ。

 沼田は22年にレノファ山口FCでプロデビューし、3-4-2-1の左シャドーを主戦場とした。チームトップタイの7得点を記録し、町田に完全移籍で迎えられた。

 荒木はサガン鳥栖からの期限付き移籍だ。運動量豊富なアタッカーで、ドリブルやシュートの技術も高い。大卒2年目の23歳にとっては、キャリアアップのためにも結果が求められるシーズンとなる。

 ベテランの中島裕希も健在だ。プロ21年目を迎える38歳は、J2歴代2位の517試合出場を誇る。J2通算104ゴールも歴代2位で、1位の大黒将志の108点にあと「4」まで迫っている。昨シーズンは1点に終わったこのベテランの記録更新も、今シーズンの町田の注目点だ。

 昨シーズンの町田は51得点を記録したが、その内訳は太田が11点、平戸が9点、ドゥドゥが8点、鄭大世が6点、長谷川が4点、ヴィニシウス2点を記録している。チームを去った選手たちの得点は合計で40点になるが、新加入選手の顔ぶれは昨年以上の攻撃力を期待させるものだ。

 チームの編成は、J1昇格を現実的なターゲットにできるものだ。そう考えると、黒田剛監督のチーム作りがポイントになる。自身初となるJリーグの舞台で、勝利に結びつく采配ができるか。転身1年目から結果が問われていく。

【補強充実度】A 
【J1昇格可能性】B

(3)へ続く
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