1月10日、川崎フロンターレは今季初めてとなる練習を川崎市内で行った。その後、佐々木旭が取材に応じた。
プロ入り2年目の佐々木にとって、今季は特別なシーズンとなる。その理由は背番号だ。昨季は「15」を背負って戦ったが、今季は「5」。この数字は、1ケタである以上の重みがある。チームのキャプテンにして、精神的支柱だった谷口彰悟がつけていた番号だからだ。
この番号について、まずはクラブからの打診があった。昨季、プロ入り初先発した鹿島アントラーズ戦でJ1初得点を決めて見せた強心臓を持つ佐々木だが、これに即答はできなかった。そして、2日間悩んだ末に5番をつけることを申し出た。
「ここから自分がフロンターレの中心になって戦っていきたいって思いで、5番つけたいですってことを伝えました」。佐々木は、その時のことをこう振り返った。
5番をつけていた谷口には、自分の口で伝えた。偉大な先輩からは、「いいじゃん。お前が引っ張っていけよ」と太鼓判を押されたという。
佐々木が取材に応じている間、
「さすが5番は違うね」
「背中にもう5が見えるよ」
などといった言葉がチームメイトから投げかけられた。そうした言葉は、こうして文字にするとやや冷たいものに感じられるかもしれないが、トーンはいじりであるとすぐに分かるものだ。こうしたいじりは、本人も「最初はいじってくれた方が、やりやすいんで」というように、「5」という数字を慣れさせるための愛のあるもの。チーム全体で、谷口がいなくなった穴を埋めている最中だ。