■最優秀個人賞は?

後藤「個人を1人だけ選ぶのは難しいな」

大住「日本代表の森保一監督じゃないの。日本のサッカーのMVPというか、“今年の人”と言われたら森保監督だよ。紅白歌合戦の審査員もやるし(笑)。君子豹変というか、今までやってこなかったことを平然とやり抜いてドイツとスペインに勝ったんだから、すごいことだよ」

後藤「国際サッカー歴史統計連盟が選ぶ2022年の最優秀監督賞の最終候補に入ったよね。それくらいインパクトがあったんじゃないの。選手交代の手際の良さで、日本代表を勝たせたんだから。チームづくりがうまいなという印象の人だったけど、あんな勝負師だとは思ってもいなかった」

大住「9月くらいからの戦いを見ると、ワールドカップをこう戦うんだというイメージが彼の中にあって、だからこの選手を選ぶんだと、すべて筋が通っているんだよね」

後藤「メンバー発表の前後、何か吹っ切れた感じがあったよ。ドイツ遠征のアメリカ戦が大きかったと思う」

大住「すごく大きな転機で、あれで自信をつかんだと思う。前田大然が前線で追い回してアメリカを混乱させて、ワールドカップもこの戦い方でいくんだろうなという感じを受けた。その前田から選手交代をうまくつないで、ああいうふうにひっくり返すとまでは想像はつかなかったけどさ。日本代表の場合、前田でいって、こういうサッカーをするというところまではイメージできるんだよね。でもそこから、1点リードしたりされた場合など、さまざまなストーリーをつくり込んで現場で実現するというのは、他チームとの力関係から考えるとかなり難しいんだよね。だけど、それを見事にやってみせた」

後藤「それまでやったことがないことをあの場でやって、選手が見事に演じた。その変換が、すごくスムーズだったよね」

(5)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3