■サッカー理論と「気持ち」の両面を語ることができる
「ほら、ビックリしてます。こいつの顔を見てください。“全然、ファウルちゃうやん”言うてますから」(コスタリカ戦、前半31分)
コスタリカ戦の前半31分、自陣右サイドでDF山根視来が相手DFフランシスコ・カルボに吹っ飛ばされてファウルをもらった際には、「いや~、山根さん、負けたくないんですよ。ファウルじゃない可能性もあって」と言い、「ほら、ビックリしてます。こいつの顔を見てください。“全然、ファウルちゃうやん”言うてますから」と発言。山根への注文を語りつつ、ファウルをとられたカルボの気持ちを代弁した。
「もう根性や、こっからっ!」(スペイン戦、後半49分)
スコアをひっくり返したスペイン戦の後半アディショナルタイムは7分。攻めるスペイン、耐える日本――。相手の攻撃を跳ね返し、冨安健洋が大きくクリアした瞬間、本田は、「よ~し。これでみんな声掛け合え! もう根性や、こっからっ!」と大きな声で叫んだ。そして寺川アナの「もう完全に気持ちですね?」という問いかけに対し、「いや、そらぁそうでしょ、ここまできたら」と高ぶった気持ちのまま言葉を返していた。
それまではずっとプレスのかけ方やフォーメーションなど、戦術面のことを論理的に語ってきた本田。それでも、最後に勝負を決めるのは「戦う気持ち」だ、ということを伝えたかったのだろう。それは数々の修羅場をくぐり抜けてきた男だからこそ言える、重みのある言葉だった。
試合を俯瞰して見て鋭い指摘を放つ「監督目線」、ピッチ上に自身が立っているような臨場感あふれる「選手目線」、さらには、純粋に日本代表を応援しているような熱い「サポーター目線」――。本田の解説には、サッカー観戦の楽しみ方がいくつも詰まっている。だからこそ多くの共感、そして絶賛の声が寄せられるのだろう。
本田の「名解説」を後押しに、日本代表にはクロアチア戦に勝利して、歴史に名を刻んでほしい。