■「決勝ゴール」の浅野が語った「みんなの気持ち」
簡単なシュートではなかったはずである。アシストをした東京五輪代表は、ゴールを決めたリオ五輪代表FWを讃える。
「ああいう1本のスキを逃したくないと思っていたけれど、あれを決めるのは相当難しかったと思う。ゴールに押し込んでくれたことで、小さいですけれど僕にアシスト1がついた。拓磨くんの個人技が光った。難しい体勢から決めてくれて、日本を救ってくれたと思います」
浅野は「狙いどおり」と言わなかった。そう言ってもいいはずだが、言わないところに彼の思いがにじみ出る。
「正直ニア上を狙ったわけではないですけど、思い切って蹴った結果があそこにいって。思い切ってやったからこそ、ああいうコースに……まあ、みんなの気持ちが強いぶん、そういうものがボールに乗っかるのかなと改めて思いました」
浅野が言う「みんなの気持ち」を、権田修一が言葉にしている。PKこそ与えたものの好セーブを連発した守護神は、この試合のマンオブザマッチに選出された。奇しくもその彼が、メンタルに触れているのだ。
「チームとしてこの試合に対して準備をしたことはありますけど、精神論みたいだと言われるかもしれないですが、やっぱり結局は強い気持ちを持って戦うとか、チャレンジし続けるとか、そういうものが出るなと改めて感じました。相手がこうくるからとか色々な準備は必要ですが、そこに中身がなければ机上の空論になってしまう。そこにみんなの魂が入ったおかげで、こういう試合ができたと思うんです」