■コロナ禍で遠のいた夢

 2020年が明けると間もなくコロナ禍にはいったこともあり、実現寸前に見えた「フットボールスタジアム」の夢は遠ざかってしまったのである。

 たしかに人口が減少している山梨県にとって、年5000万円~8000万円の負担は小さいものではないだろう。しかし新スタジアムができ、2週にいちど、年に20回程度でも2万人の観客が集まり、県内の少年少女があこがれる「舞台」が生まれることは、それほど価値の低いことだろうか。ヴァンフォーレ甲府というJリーグの1クラブの経営のためではない。地元への帰属意識や誇りをはぐくみ、地域を大きく活性化する力が、スタジアムにはあると、私は信じている。そうした例を、日本の各地で、そして世界中で見てきた。

 他方、山梨県は、日本でも有数の「サッカー王国」であるという事実がある。

(3)へ続く
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