まとまりかけていた2万人収容「専用球技場」プランが遠ざかった理由【甲府に新サッカースタジアムを!】(2)の画像
甲府のレジェンド的存在である山本(右)も専用スタジアムの建設の必要性を訴えた 撮影:中地拓也
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 今年度の天皇杯は、ヴァンフォーレ甲府の優勝で幕を閉じた。来季はJ2クラブでありながら、ACLを戦う。甲府の偉業はけっして偶然ではなく、だからこそフットボールスタジアムが必要である。サッカージャーナリスト・大住良之は、そう訴える。

■J1ライセンスを失う恐れ

 入場可能数1万5853人のスタジアムで、屋根がかかっている観客席はわずか635席に過ぎない。ヴァンフォーレ甲府は現在「J1ライセンス」をもっているのだが、そのためのスタジアム基準によると「観客席の3分の1以上が屋根で覆われている」となっている。ただこれは大きな費用を要するものなので設置期限については検討を続けるものとなっていて、J1ライセンスが11年間も屋根カバー未充足の制裁付きで交付されているのだが、今後これが原因となってJ1ライセンスを失う恐れは十分ある。J2で優勝してもJ1に昇格できないという悲劇的なことになりかねないのだ。

 この屋根のカバー率に象徴されるように、Jリーグ基準に合わせようとした過去のさまざまな努力にかかわらず、「小瀬」が改修では間に合わないほど時代遅れなスタジアムになりつつあることは覆いがたい事実なのだ。

「僕がずっと言っているのは専用スタジアムをつくってほしいということ。山梨の子供が目指すような場所がほしいとはずっと思っている。(天皇杯優勝で)少しでも機運が高まればいいなと思うし、折角アジアの戦いをやるのであれば山梨でできれば一番良いと思う」(「スポニチアネックス」10月17日15:19配信)

 こんな話がネットに出たのは天皇杯優勝の翌日。話したのは、ヴァンフォーレ甲府の「レジェンド」的存在で、天皇杯決勝では勝利を決める5人目のPK戦キッカーを務めたDF山本英臣である。そして実際、山梨県には、ほんの数年前まで、県営の新しい専用球技場建設の話があり、具体的なプランまでまとまりかけていたのである。

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