■10月12日/明治安田生命J1第25節 川崎フロンターレ3ー1京都サンガ(等々力)
川崎フロンターレが逆転3連覇へ大きな白星を手にした試合で、ファン・サポーターが胸を熱くした出来事があった。
優勝争いをしている川崎と残留争いをする京都は、両チームともに白星を強く欲して対戦。90分の時を経て川崎の勝利を告げるホイッスルが鳴ると、ピッチ上でホームチームの選手は笑顔を見せ、アウェイチームの選手は顔をしかめ、遠く関東まで駆け付けたサポーターの集まる観客席へと向かった。
京都を指揮する曺貴裁監督も選手の後ろを追いかけたのだが、その途中、ピッチ上で川崎の山根視来と話を始めた。京都の観客席の方を向きながら、肩を並べて話しこんだ。周りに人はおらず、2人だけの空間で言葉を交わしていた。
その後、川崎の選手がサポーターへの挨拶のために移動を始めると、山根は促されて曺監督の元から走り去った。その際、恩師は手を軽く差し出し、山根は振り返らずに足を速めた。
2人は湘南ベルマーレ時代に師弟関係にあった。多くの試合で旧知の関係を温めるのはふつうに見られる光景だが、優勝争いと残留争いという対極的な立場にあるからなのか、あるいは、カタールワールドカップを前に控えた時期だからなのか、とても特別な瞬間に思われた。