■機能しなかった新システム
「拙戦」の原因ははっきりしている。
それは、池田監督就任以来初めてスリーバック(3-4-3)で戦ったからである。池田監督就任前を含めて日本女子代表がスリーバックで戦ったことはほとんどなかったはずだ。
試合後の記者会見で、池田監督は「前から一度はスリーバックに挑戦したかった」のだと語った。
「これまで4-4-2や4-2-3-1がベースだったが、ワールドカップでの戦いのためにバリエーションを増やしてプレーの幅を広げたかった」
池田監督が兼任で指導してきたUー20日本代表は、8月にコスタリカで行われたUー20女子ワールドカップを3-4-3で戦って2大会連続の決勝進出を果たした。そんな経験も、池田監督の決断を後押ししたのかもしれない。
また、ナイジェリアやニュージーランドとは(コンディション面も含めて)実力差があったため、新システムを試すには絶好の相手と考えたのかもしれない。今までのやり方のままでナイジェリアに対して大勝したとしても、それほど大きな収穫にはならない。それなら、ここで新システムを試そうというのだ。
しかし、日本代表の3-4-3は機能しなかった。
とくに前半は選手たちの戸惑いが隠せず、パスを受けてから次のプレーを考えるのでパススピードが遅くなり、推進力や迫力が生まれなかった。それなりにパスは回っているのに決定機につなげられなかったのはそのせいだ。
池田監督自身も「ノッキングしてテンポが遅くなった」と認めている。