■状態が良くなかったナイジェリア

 ヨーロッパからの長距離移動の負担がいかに大きいのかは、男子のワールドカップ・アジア最終予選のときにさんざん思い知らされた事実だ。

 ヨーロッパから日本への移動に慣れているはずの日本代表選手でも、到着直後はコンディション調整が難しく、毎回のように苦しんだ(ホームでオマーンに敗れるという失態まで演じてしまった)。

 まして、長距離移動に慣れていないナイジェリアの女子選手たち(ヨーロッパから本国への移動も長距離だが、アフリカ大陸への移動の場合、南北の移動だから時差がほとんどない)。しかも、初めて訪れる日本という国への移動である。

 従って、ウォルドラム監督は選手のまずコンディションを考慮せざるを得ず、ベストメンバーを組むことはできなかった。

 しかも、ナイジェリアは背番号10を付けてアンカーとしてプレーしていた中心選手のクリスティー・ウチェイベが負傷して前半39分に交代を余儀なくされるというアクシデントにも見舞われた。

 そんな相手であれば、日本はもっと楽に勝たなくてはいけなかった。

 だが、実際にはボールを握る時間が長かった割にパススピードが遅く、推進力に欠け、さらに肝心なところでミスが出るなどでなかなか決定機を作れず、大きな見せ場も作れないまま時間が経過。前半の終了間際にはナイジェリアに決定機を与えてしまう場面もあった。

 後半、ナイジェリアの足が止まってきたところでセットプレーから2点を奪って勝利したものの、内容的には「快勝」ではなく「苦戦」と言うべき試合、いや自分たちのパフォーマンスの悪さで苦しんだので「拙戦」と言うべき試合だった。

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