女子日本代表は来年7月、ワールドカップに臨む。大舞台を目指して、今月には強化試合を行った。その2試合では、新たなトライが行われた。なでしこジャパンが導入した新フォーメーションの光明と課題を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■池田監督の新たな挑戦
来年7月にオーストラリアとニュージーランドで開催されるワールドカップを目指す女子日本代表(なでしこジャパン)が、ナイジェリアとニュージーランドを迎えて強化試合を行い、2試合とも2対0のスコアで勝利した。
注目は、本大会まで1年を切ったこの時期に池田太監督がスリーバック(3-4-3)という新システムに挑戦したことだった。
ナイジェリア相手に2対0で勝利した試合は「快勝」と伝えるメディアも多かった。
たしかに、日本が主導権を握って攻撃をつづけたのは事実であり、ともにセットプレー(FKとPK)からだったとはいえ、しっかりと2点を奪って勝利したのだから文句のつけようのない勝利だった。
だが、最新のFIFAランキングでは日本の11位に対して、ナイジェリアは46位と大きな開きがある(女子の場合、ランキングによる実力差は男子の場合より大きい)。
しかも、世界各国のクラブから集まったナイジェリア代表は到着から時間がなく、コンディションが良いはずはなかった。ランディー・ウォルドラム監督(アメリカ人)によれば、代表19名のうち6名は試合前日の夜に到着したのだという。つまり、到着後に一度もトレーニングを行えないまま試合に臨んだのである。