■広島が狙っていたポイント
川崎が狙っていたのは、ロングボールを入れて裏のスペースを狙うことによって、広島のプレーエリアを全体的に押し下げてゲームを支配することだった。
前半34分に先制ゴールが決まるまでの間に川崎のチャンスは6回あったが、たとえばマルシーニョを走らせたり(4分)、ジョアン・シミッチがサイドを変えるパスを送り、それを山根視来がボレーで狙ったり(15分)、タッチライン沿いにマルシーニョを走らせたりと(17分)、いずれもロングボールを使って相手陣内のスペースを狙うものだった。
この序盤戦での川崎のロングボールを使った攻撃は、もちろん1本の縦パスでシュートまで行ければそれに越したことはないのだろうが、本当の目的は相手の最終ラインを押し下げることだった。
つまり、高い位置からプレスをかけてボールを奪おうとする広島を、少しでも押し下げることができれば、広島は狙い通りのプレーができなくなる。そうしてゲームの主導権を取ろうというのである。