■嵐の前の静けさ

 8分にはジェジエウがドウグラス・ヴィエイラを倒してイエローカードを提示され、17分にはスピードを生かして抜けかけたマルシーニョに対して、広島の若いDF住吉ジェラニレショーンが接触して、両者が小競り合いを起こす。

 しかし、両チームとも序盤戦ではフルパワーを注入して攻撃しかけていたわけではない。立ち上がりは「90分を見据えて、駆け引きをしながら」という時間帯だったからだ。僕は「嵐の前の静けさ」のように感じていた。

 川崎の攻撃も本来の川崎らしくパスをつないでビルドアップする形ではなかった。序盤戦はどちらかと言えばロングボールを使ってカウンター気味に攻撃をしかけていたのだ。「今はリスクを冒す時間帯ではない。相手との駆け引きの時間なのだ」ということを両チームが共通して意識して戦っていたのだ。

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