■過去にもあった「後始末」ゴール

 Jリーグが始まったころから、どちらのチームであろうと選手が大けがをしたと思われたとき、あるいは倒れたままで起き上がらないときには、ボールをもったチームがタッチラインに出し、手当てが済んだり立ち上がってプレーに戻ったらスローインのボールを相手に返すという「暗黙の了解」が成立した。この行為は「相手選手も仲間」ととらえるフェアプレーの表れとされ、認容され、一般化した。

 これに反して、今回の福岡のように得点してしまい、その「後始末」として相手に無抵抗でゴールを許してしまった例が過去にいちどだけある。2003年3月のナビスコ杯予選リーグ第1節、京都サンガ(当時の正式愛称はパープルサンガ)対大分トリニータの一戦である。1-1で迎えた後半17分、大分の選手の負傷のため京都がタッチに出したのだが、そのスローインを大分が長いキックで京都のGKに返そうとすると、それを追った大分のMFロドリゴが得点してしまった。その非を認めた大分の小林伸二監督が相手に得点を与えることを指示、京都のMF中払大介が得点したのだ。

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