8分に幸先よく先制した清水だったが、決定機を多く作るものの追加点を奪えずに前半を終えると、ハーフタイムに柏が3人を交代。加えて、ネルシーニョ監督が左ウイングバックの戸嶋祥郎に「相手サイドバックの上下動にしっかりと対応する」「攻撃になったときに、サイドハーフのようにより高い位置を取る」と指示したことが見事にハマり、柏は攻守ともに格段に効率アップ。前半とは打って変わり、後半は柏が清水を苦しめ続ける展開となった。
それでも、清水の選手たちはボールに向かって行くことをやめずに柏のチャレンジを跳ね返し続け、権田修一の好セーブもありスコアは変わらない。
しかし、逃げ切りが現実味を帯びてきた90+4分、武藤雄樹がとうとうゴールネットを揺らして1-1。試合は引き分けに終わった。
FC東京とガンバ大阪に連勝し、一気に残留争いを抜け出せそうな強さを見せていた清水にとって、勢いが止まりそうな嫌な結末にも見える。
しかし、清水が再び下降線を辿るようには思えない、と感じさせる要素がいくつもあった。
例えば、ガンバ戦と同じくディフェンスラインがミスをせずに我慢強さを見せたことや、苦しめられていても攻撃に転じる姿勢を捨てることがなかったこと。
あるいは、ヤゴ・ピカチュウが連動の中で機能する場面が増えたことや、ガンバ戦に続き原輝綺がメンバーを外れた右サイドバックのポジションで起用された片山瑛一が攻撃でも積極的なプレーを出すようになったことなど。
全体の様子からも個々のプレーからも、チームの状態が明らかに上向いていることを感じさせられたが、キリがないので1人の選手に焦点を当て、2つだけ取り上げる。