■懸命に背中を押した名古屋のファミリー

 この日は、名古屋のサポーターに割り当てられた1000席の「声出し応援エリア」は完売にはならなかったらしい。しかし浦和の9000人と比較すると圧倒的な数的劣勢とはいえ、名古屋のサポーターも懸命に声を出し、歌い続けた。「アウェーで数的劣勢とはいえ奮闘するサポーター」も、また、選手たちを勇気づける重要な要素だ。名古屋の選手たちを立ち上がりから野心的なプレスへと立ち向かわせたのは、やはりサポーターの歌声だった。

 試合後、長谷川健太監督が最初に語ったのが、サポーターへの感謝だった。ただし長谷川監督は「ファミリー」と表現した。

 「まずは、名古屋のファミリーの皆さんが、声を出して選手を精いっぱい応援してくれたことに感謝したいと思います。そのファミリーの皆さんの気持ちに応えることができなかった」

 もし浦和が浮足立っている時間帯に名古屋が先制点を決めていたら、試合はまったく違ったものになっていたかもしれない。1点を追い、バランスを崩して攻め込もうという浦和に対し、FWマテウス・カストロ、FW永井謙佑といったJリーグきってのスピードスターのカウンターがさく裂したら、4日前のリーグ戦と同じ結果になったかもしれない。

 ちなみに、この日、浦和のサポーターは決められたルールどおりの応援を行い、一切トラブルはなかった。視察したスポーツ庁の担当者から、浦和の担当者は、「パーフェクトな運営だった」と称賛されたという。

(3)へ続く
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