新型コロナウイルスは、世界を大きく変えた。Jリーグも例外ではないが、力強く「コロナ前」の世界を取り戻そうとしている。ルヴァンカップの浦和レッズと名古屋グランパスの対戦は、サッカージャーナリスト・大住良之にあらためてJリーグのあるべき姿を確信させた。
■昔を思い出させる浦和のミス
少しおかしなことがあった。キックオフから20分間以上、浦和レッズの選手たちの動きが非常にぎくしゃくしていたのだ。
たしかに名古屋グランパスは前線から野心的なまでのプレスをかけてきた。これがこの1週間で両チームが対戦する3試合目。1週間前のルヴァンカップ準々決勝第1戦(豊田スタジアム、1-1)、前週末のJリーグ第24節(豊田スタジアム、名古屋3-0浦和)という連戦から、GKを含む浦和守備ラインのボール回しに慣れ、読みやすくなったこともあるだろう。
だがそれ以上に、浦和の選手たちの動きにスムーズさがなかった。開始早々にはDF岩波拓也がなんでもないボールを空振りして名古屋のFWマテウス・カストロにシュートを許した。GK鈴木彩艶もボールが足につかず、パスを受けてはコントロールに手間取って名古屋の選手に詰められ、あわててけってタッチラインに出すという場面が相次いだ。
その風景を見ながら、申し訳ないが、私は少し笑ってしまった。リカルド・ロドリゲス監督は「最初はフリーになっている選手を見つけられず、前線にはいっても収まらなかった」と語ったが、私には、「かつてよく見た光景」だったのだ。