■川崎のコロナ禍からの反撃

 山根に加えて、川崎では陽性者が続出していた。

 前節の浦和レッズ戦では控え選手が5人しか登録できず、しかも5人のうち3人がGKでフィールドプレーヤーの控えが2人だけという緊急事態の中で戦って浦和に敗れてしまった。とくに、浦和戦では両サイドバックが軒並み欠場となり、右は橘田、左は瀬古樹と、ともに本職はMFという選手がSBを務めていた。

 横浜戦でも左SBは橘田が務めたが、橘田はすでに何度もSBでプレーした経験があり前半から存分に攻撃の起点を作っていた。

 そして、右サイドには山根が戻ってきたことによって川崎の攻撃力は大幅にアップ。事実、25分の先制ゴールの場合も谷口からの長いサイドチェンジのパスを受けた山根が「ワンタッチでクロスを入れる」という選択をして、レアンドロ・ダミアンの先制ゴールをアシストしていた。

 つまり、両チームともSBの攻撃参加が魅力というチームだった。

 だが、この優勝の行方にも影響する大事な試合とあって、前半はSBの攻撃参加はいつもより少なかった。それでも、横浜は左SBの永戸勝也が攻撃に絡み、8分には永戸からのクロスから初めてのCKも生まれた。

 一方、その永戸のいるサイドの川崎の(右)SBの山根は比較的慎重で、逆サイドの橘田の方が活発で、サイドハーフのマルシーニョを追い抜くシーンが何度もあった。しかし、時間とともにボールを持つ時間が長くなり、山根も攻撃に参加する場面が増えた。右サイドでのサイドハーフの家長とのコンビネーションは抜群だった。

(3)へ続く
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