■華麗なターンでスコアを動かす!

 そんな空気を打破したのが、脇坂泰斗だ。33分、宮城天が右サイドから中央にグランウンダーで入れたボールを、受け取ると同時に華麗なターン。このプレーでプレッシャーをかけてきた奥埜博亮をうまくはがすと、相手CBが寄せてくるのを見ながら冷静にシュート。丁寧にコースをついたボールで、ゴールネットを揺らしてみせた。

 E-1選手権で日本代表として3試合に出場し、そのまま川崎で試合に出続ける背番号14は、貴重なアウェイゴールをもたらすとガッツポーズをしながらベンチに走り出す。そしてフィールドプレイヤーのユニフォームを着るGK早坂勇希らとハイタッチして、チームの雰囲気を一気に盛り上げた。

 後半、川崎はシステムを変更しながら追加点を狙う。蒸し暑さもあって互いに決定機を作れない時間が続くが、いくつかの見せ場を作ったのが山田だ。クロスに飛び込んで頭で合わせた決定的な場面があれば、相手DFと対峙しながらも右足のシュートまで持ち込んだシーンなど、サポーターを沸かせた。相手GKの神セーブで阻まれたものの、デビュー戦ゴールまであとわずかというチャンスだった。

 それでもスコアは動かず、このまま時間が過ぎて川崎が先勝するかに思われた。後半29分頃から雨脚が強まる中、鬼木達監督は84分にFW2枚を下げて、レアンドロ・ダミアンジェジエウを投入。前線の人数を減らしてブラジル人CBを入れることで、守備を固める采配を見せた。

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