他チームとの違いにつながる藤田譲瑠チマ、角田涼太朗ら若手の台頭【現在首位の横浜F・マリノスはそのまま優勝へたどり着けるか】(2)の画像
藤田らの台頭は大きなアドバンテージとなる 撮影/中地拓也

 現在、J1首位に立つのは横浜F・マリノスだ。先週末にも清水エスパルスから5ゴールを奪って、勝点を伸ばした。2019年のJ1王者は、そのまま3シーズンぶりのタイトル奪還を果たすことになるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■高温多湿でも走れる理由

 ゴールの場面を見ると、横浜FMの選手たちは本当によく走っていた。

 ただ、この日の横浜F・マリノスは90分間に渡って走り続けていたわけではない。なにしろ、公式記録によれば開始時の気温が30.1度。湿度54%という高温多湿の気象条件なのだ。90分間走り切ることは、どんなチームでも不可能だ。

 横浜FMも、全体としては人が動くよりもボールを走らせることを意識して試合を進めていた。

 だが、ゴール前で「ここぞ、チャンス」という時に全員のスイッチが入って、パスのスピードも人の走るスピードも一気にギアが上がるのだ。チームの4点目(52分)のゴールなどが典型だろう。水沼から右のタッチライン沿いを駆け上がる岩田にボールが渡ったが、岩田はそこでいったんスローダウンしたのだ。そして、タイミングを見て岩田から水沼にパスが渡った瞬間に一気にスピードアップした。

 こうしたメリハリの効いた攻撃ができるのは、全員の描いているビジョンが一致しているからだ。

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